ふるさとの魅力をテレビCMでPRする「みやぎふるさとCM大賞」の最優秀賞(khb大賞)に、宮城県七ヶ浜町のCM『Shall we…』が選ばれました!
そのCMテーマはなんと「ダーツ」。七ヶ浜町は「ダーツの町」として、数年前からダーツで町づくりを行っており、スポーツダーツプロジェクトも活動を支援しています。
そこで今回は、受賞CM『Shall we…』を担当した七ヶ浜町役場の髙橋さん・船木さんと、制作を担当したクリエイターチーム「lil357」の渡邊さんのお話をお届けします🙌
「ダーツの町 七ヶ浜」を全国に宣言!
今回はテーマが「ダーツ」でしたが、内容はどのように決まったんですか?
■船木さん
最初は役場の職員で案を持ち寄って、今回はどうしようかと考えていたんですが、髙橋さんが「ダーツ」という案を出してくださってからはトントン拍子で進んでいきました。前回は「もっとパンチが欲しいね」など何度も会議が行われたんですが、今回は一発で「いいね」となりまして。私たちも乗っていたんだと思います。
■髙橋さん
その次の会議には船木さんが絵コンテを持ってきてくれ、具体的な検討に入りました。「ダーツといえばバーだろう」から始まって、町のCMとして元気なシニアや地域の温かさなどを表現できればと考えていましたね。バーテンダーを子どもにしたのは、違う世代との交流を入れることで、和やかな雰囲気が出せるんじゃないかと思ったからです。
■渡邊さん
七ヶ浜町は「ダーツの町」。これを町として推していきたいということだったので、私も率直にいいなと感じました。ですが一方で、「ダーツのCM」ではなく「七ヶ浜町のCM」として、どう見せていくべきかが最大の課題だろうと思いました。
制作期間は約5か月。撮影は2日間というタイトなスケジュールだったようですが、実は制作を担当した渡邊さんも七ヶ浜のご出身。さらには出演者も七ヶ浜の方とのこと!つまり、CMに携わった全員が七ヶ浜町の人たちなんです。
出演者のみなさま、とても演技がお上手でした。本当に町の方々なんですよね?
■髙橋さん
そうですね。七ヶ浜町のなかでも湊浜(みなとはま)という場所がダーツで盛り上がっています、と聞いてみんなで湊浜にお伺いしました。湊浜のコミュニティセンターに小さなお子さまからお年寄りの方まで集まっていただき、我々がみなさんをその場でスカウト、撮影しました。
■渡邊さん
作品は、おおよそ前編と後編に分かれている構成なんですけど、後編のみなさんがダーツで遊んでいるシーンを初日に撮影して、撮影しながら前編(バーのシーン)のキャスティングを決めて、翌日に撮影をしました。こんな人がいいな、というのは事前に決めてたんですけど、実際にお会いしてから決めたかったので、撮影当日にお願いさせていただきました。
出演者はまさかの当日スカウト!お願いされた出演者の方々は「え、ほんとに⁉」と驚かれていたそうです。主役のお二人は普段からダーツを楽しまれており、撮影の合間にはダーツ話もしていたのだとか🎯
さまざまな思いが込められた『Shall we…』。このCMを通して伝えたいことはなんでしょうか?
■髙橋さん
やっぱり世代を超えて誰でも気軽にできるダーツを伝えたいというのはありますよね。娯楽要素の強いダーツをこんなお堅い役所が取り組んでいるっていうのも面白いと思っています。これまでも「ダーツの町」として取り組んできましたが、このCM大賞のおかげで県内をはじめ全国に対してドーンと宣言できたのかなと思います。
■渡邊さん
住んでいる者としても、七ヶ浜町って宮城県内でも保守的な方に入ると思うんです。いい街だからこそ、派手なことをしなくても済んでいるっていうことだと思うんですけど、そんな中でダーツで町づくりするってよく考えたなと思います。他の行政は絶対やらないと思うんですよ。そこが本当に素敵だなって思うし、多くの人は「ダーツで町づくりしてます」と言われても、ぽかんって感じだと思うので、CMを通してこんな素敵な町なんだよというのがもっと深く伝ったら嬉しいなって思います。
町のみんなで力を合わせて完成した『Shall we…』。その制作秘話に迫る…!
さてさてここからは、さらに深堀り!撮影の裏話に迫ります。
改めて、大賞受賞おめでとうございます!
■船木さん
ありがとうございます!実は2回目の大賞受賞ということもありまして、意外という感じもしなかったです(笑)会場でこのCMが紹介されたときに大きな笑いも起こっていたので、手ごたえがありました。
CM大賞は今回で22回目の開催で、七ヶ浜町の出場は12回目。「地元をよく知る渡邊さんが制作に入るようになってからどんどん賞を取れるようになった」と髙橋さんが教えてくれました。
■渡邊さん
僕が初めて参加させていただいた年に部門賞である演技賞をいただきました。でも満足できなくて、翌年リベンジして大賞をいただけたんです。そこから銅賞、金賞ときてたのに、前回は何も賞をいただけなかったんです。今回はそんな中でkhb大賞をいただくことができて、本当に安心しましたし嬉しい限りです。
■髙橋さん
毎年、CMが完成したら町長に最終確認をもらうんですが、町長がCMを見た途端に町長室からドアを開けて、別フロアにいる職員まで呼んで映像見せたというのは初めてらしいんですよ。そのぐらい完成度が高かったのだと思います。
そんな町長さんお墨付きで完成したこのCMは、出演者だけななく撮影場所もすべて七ヶ浜町。
CM前半部分ででてくるダーツバーのシーン。こちらは七ヶ浜国際村(ホールやセミナー施設などを持つ七ヶ浜の公共施設)の中にあるカフェレストラン「Cafe La Luna(カフェ・ラ・ルナ)」で撮影されました。
■渡邊さん
レストランの一部がバーカウンターみたいになっているんですけど、普段は物置みたいに使われていて。まずそこを片付けて、バーを作るところから始まりました。お酒や小道具を置いたり、椅子も借りたりしてきて。普段は明るい店内なので、夜になるのを待って、照明で雰囲気を出して撮影しました。
当日のスタッフはたったの6名。使われた小物もその多くが役場の方の手作りという、なんとも町のみなさんの地元愛を感じる撮影現場で撮影が行われたようです。
CM制作において、こだわったポイントや意識したポイントはありますか?
■渡邊さん
必ずどこかに何かインパクトを入れるというのと、雰囲気を大事にすることです。後編は演出を加えつつも、普段の純粋に楽しんでいる雰囲気をうまく紡いで、あくまで「町民がダーツを通して盛り上がっている」というのを伝えられたんじゃないかなと思います。
町のみなさまで力を合わせて完成した七ヶ浜町のCM『Shall we…』。完成後は町のみなさまを呼んで、撮影場所のコミュニティセンターでお披露目会を開催したといいます。
お披露目会の様子を教えてください。
■渡邊さん
撮影に参加してくれた方々と子ども店長、あとはお店を貸していただいたレストランの店長など関係者を招いて、後編のダーツシーンを撮影した場所でお披露目会を行いました。みなさんワクワクした様子で楽しんでくれました。
本編に加え、映像の中には撮影の裏側を写したものも上映。主役で出演されていたお二人は、特に嬉しそうだったといいます。
■渡邊さん
「私あと人生何年生きられるかわかんないけど、こんな機会があると思ってなかったからとても楽しかった」とずっと笑顔でおっしゃってくれました。直前に出演相談をするという、普通なら考えられないようなことだと思うので不安もあったんですが、みなさん笑顔でそういうことを言ってくださるので本当に嬉しかったです。
私たちも撮影現場の様子も映像で拝見させていただいたのですが、みなさま本当に楽しそうに撮影に参加されていました。khb大賞を受賞したこのCMは、khb東日本放送にて年120回放映されます。また、髙橋さんと船木さんは七ヶ浜町のイベントの際などでも流したいと話してくださいました。
今回のCMとインタビューを通して、ダーツの持つ力、地域の持つ力を改めて感じることができました。「ダーツで町づくり」。みなさまの町でもいかがですか?