埼玉県にある戸田かけはし高等特別支援学校。先日、こちらでダーツの体験会を実施しました。実は、支援学校での体験会は初!きっかけは、同校の先生が私たちの活動を知り「ぜひ本校の活動に取り入れたい」とお声がけくださったことでした。
支援学校でなぜダーツ? 「自立活動」に活用できるダーツの魅力
特別支援学校の学習指導要領には「自立活動」と呼ばれる時間があります。
自立活動とは、個々の生徒が自立を目指し、障害に基づく種々の困難を主体的に改善・克服するために必要な知識、技能、態度及び習慣を養いながら心身の調和的発達の基盤を培う時間のこと。ダーツの単純でゆっくりとした動作は、自分の体と向き合う良い機会になるのだといいます。
「生徒の中には、体の軸やバランスを意識するのが難しい子もいる。なので、そういったところを意識して、興味を持って取り組んでもらえるものを探していたんです。ダーツは、バスケットボールやサッカーより動きがシンプル。やり方によってさまざまな取り組みができそうだと感じ、ぜひ取り入れたいと思いました」
簡単な動きでありながら奥が深いダーツは、肘や手首など少しのポイントを意識するだけで、一気に上達することもあります。それらを楽しみながら体験できるのは、ダーツならではなのかもしれません。
平等に「楽しい」を体感
今回の体験会では、的を狙うミッションやダーツを使ったビンゴゲームで楽しみました。どの生徒も活き活きとプレイする姿が印象的でした。
クラス単位で行われたダーツ体験会。体験会を終えた、各クラスの担任の先生方からご感想をいただきました。
「体の大きさも体力の面も関係なく、ダーツは生徒も教員も同じ目線で参加できて、生徒たちも盛り上がってくれました」
「うちのクラスは、ほとんどの生徒がダーツ初体験でしたが、ビンゴはみんな親しみを持っている遊びの一つ。初めての活動でも、全員が抵抗なく取り組めていたのでよかったです」
狙ったところに入ればみんなで喜び、素直に褒め合い、時に競い合う。今回の体験会では、そんなコミュニケーションが活発に行われていました。一方で、大人数があまり得意ではない子が、一人で黙々と楽しむ姿も。ダーツは、工夫次第で平等に“楽しい”を感じることのできるスポーツだと改めて感じました。
教育現場からみたダーツ
ダーツについて教育観点から、こんなお話をお聞かせくださいました。
「ダーツを投げる一つ一つの動きを習得するのに、時間がかかる生徒がたくさんいます。でも、ダーツは簡単な動作の繰り返しで、『矢が刺さった』や『得点をとってうれしかった』など、そういう成功体験を重ねながら、動きを身に着けることができていたと感じます」
さらにダーツは、体を動かすだけの学習に留まりません。
「ダーツは的に当たった箇所の点数確認や得点の計算があるので、数学的な学びに繋がると思います。ダーツという同じ活動でも、どこに学習の狙いを定めるかによって多くのことを取り入れられるんじゃないかなと思いました」
「今回のようなビンゴ形式のゲームは、集団で何かをする練習にもなりますね。競技としてのダーツだけでなく、ゲームを交えながらやることで、リーダになる子、盛り上げ係になる子、役割を見つけて繋がりができてくるのではないかと思います。競技以外にも工夫を通した交流ができそうです」
校長先生からも「ダーツを投げる際の集中力、細かな手先の動きは学習の機会になる。動作もルールも簡単だけど、競技性がしっかりある。そして、小さな“できた”を積み重ねることができる、これはダーツの良さであると思う」とご評価をいただきました。
隣接する県立高校との合同活動も視野に
戸田かけはし高等特別支援学校には隣接する戸田翔陽高等学校があります。「いつか2校合同のダーツ同好会が作れたらいい」というお話もいただきました。ダーツが両校の新たな架け橋となり、ダーツを通したコミュニケーションの輪が広がっていけば嬉しく思います。
ダーツは誰もが楽しめるスポーツです。単純な体を動かす機会だけでなく、仲間やライバルとのコミュニケーション、そして技術面、能力面の様々な学習の機会にもなります。今回の体験を通し、改めてスポーツダーツの可能性を感じることができました。
🎯スポーツダーツプロジェクトは、全国でダーツを広める活動を実施しています。体験会の実施を希望の方は、ぜひお問い合わせよりご連絡ください。