東京都府中市にある学校法人明星学苑 明星小学校。2022年4月より、クラブ活動としてダーツが導入されています。この連載では、小学校のクラブ活動としてダーツを導入することによりどんな変化や成長が見られたかをレポートしていこうと思っています。
本格的なクラブ活動が始まって、半年が経過。今回は具体的な活動の様子や、半年間でのさまざまな変化、教育現場ならではの工夫などをレポートしていきます。
「異学年交流」で生まれること
準備、片づけは自分たちで。
明星小学校のダーツクラブは小学4年生から6年生までが参加し、3学年での「異学年交流」を行っています。クラブ活動担当の風間先生に、異学年交流で生まれる効果について伺いました。
「相手が同学年の場合、環境の慣れから生まれるちょっとしたふざけや口喧嘩などが起きやすいことがあります。当校ではクラブ活動の主目的を異学年交流に定めて、高学年のリーダーシップや、年齢差のある児童に対する気遣いを育めるように活動を行っています。」
ダーツボードの設置やスローライン(投げる位置)のテープ貼り、チーム分けなど児童たちが自分たちで率先して行います。先生はあえて指示を出しません。自分たちでダーツに触れる時間を少しでも多く作ることを目的に、児童たちは主体的に準備を進めていきます。
6年生の児童が部長(クラブのリーダー)になり、クラブ活動の限られた時間を有効に使えるよう他の児童たちに声がけをします。重い道具を積極的に持ったり、手持ち無沙汰になっているメンバーに指示を出したりと自発的に行動し、全員が能動的にクラブ参加している様子がとても印象的でした。
ダーツに「夢中にさせる」先生ならではの工夫
この日、クラブ活動でメインに行ったのは「数字当てゲーム」。ダーツを投げて、1・2・3~20と中心のブル(的のど真ん中)まで順番にボードの数字を狙い埋めていきます。順番通りにダーツが刺さったら挙手して先生に報告して進めていきます(違う数字に刺さったら次の人に交代!)。
うまく順番に当てることができ元気に報告する子、狙いを外して四苦八苦する子、同じチームのメンバーを応援する子。教室にいる全員が積極的にゲームにチャレンジします。いつも授業で使っている黒板にどんどん埋まっていく数字。声の小さな報告には、先生が“あえて聞こえないふり”をして大きな声の報告を促すシーンも! 声に出して点数を報告することで、ゲームを「ジブンゴト」にさせる先生ならではのアイデアです。
ダーツの上手い下手を問わず、児童全員がまずは「夢中になれる」空気づくりを優先したクラブ活動。マスクと換気をしっかりしつつも、元気な声が教室に溢れていました。
「スポーツが苦手」と思っている児童の意識に変化が!
明星小学校では、日記を提出する日課があるとのこと。クラブ活動をきっかけに、スポーツに苦手意識がある児童の日記に変化が生まれました。クラブ活動があるたびに「ダーツが楽しかった」という内容が嬉々と書かれているそうです。
スポーツダーツプロジェクトの活動以前は教育現場にあまり縁のなかったダーツですが、学校内で触れる機会を作り「自分も活躍できる」と感じてもらうことはとても重要な意味を持つと感じています。得意なことや、楽しいと思えることが増えることは自己肯定感につながります。クラブ活動を通じて、児童たちにポジティブな変化が生まれているようです。