「私のスポーツダーツプロジェクト」は、ダーツを使った福祉活動や交流会、街の活性化など、さまざまな問題の解決に向けてすでに活動をおこなっている「先輩」を紹介する企画です。
詳細はコチラ。あなたのスポーツダーツプロジェクトのご応募、随時お待ちしております!
「私のスポーツダーツプロジェクト」今回のレポートは、岐阜県恵那市からお届けします。紹介させていただくのは、調理師・ダーツ店勤務・プロダーツ選手という、3足のわらじを履きこなす牧野克也選手。牧野選手の活動を伺って一番に驚いたのはその行動力。これからダーツの普及活動をしてみたい! 地域に貢献したいという方に、ぜひ読んでいただきたいインタビューになりました。
それでは牧野選手の活動がどんなものか、さっそく紹介させていただきます!
「牧野克也選手のスポーツダーツプロジェクト」
・大好きなダーツ、だけど地元でお店がゼロに! 一念発起して、ダーツ普及を始める
・ダーツを教えていたおじいちゃんに、逆に市内の支援システムについて教えてもらう
・地元観光地でのイベントにダーツブース出展、そして大学で講義。いつしか「恵那市でダーツといえば牧野さん」という存在に
帰郷して数年で、地元にダーツ店がなくなってしまった
牧野選手のふるさとは、岐阜県南東部にある恵那市。愛知県の名古屋市にも電車一本で行けるアクセスの良いまちです。市内には、木曽川中流の渓谷に「恵那峡」という観光スポットがあります。
– 恵那市はどんなところでしょうか? ぜひ地元紹介をお願いします
恵那は…田舎ですね(笑)。自然が多くて、教科書に載ってるような棚田があります。おっしゃるとおり、恵那峡は観光スポットなんですが地元の人はほとんど行かない場所で、いまは少し寂しい感じになってしまっています。高齢者の方が多いですね。
– 恵那市でダーツを広めたいと思ったのは、何がきっかけだったのでしょうか
調理師免許を取るための入った専門学校を卒業して、レストランに就職した頃にダーツと出逢ったんです。もともとバスケットボールをやっていたので運動は好きなんですが、個人戦で競えるダーツにドハマりしてしまって(笑)。それから仕事を変えてまで練習時間を確保して、国内プロツアーJAPAN(以下、JAPAN)の資格も取って、プロダーツ選手になってしまいました!
ダーツ店で数年働いたあと、地元での就職が決まりました。ダーツはあまり体をたくさん動かせない人にもできる運動だとずっと思っていて、職場(現在は病院内の調理師さんとして働いていらっしゃいます)でも入院患者さんにダーツを教えられないか、同じ職場で働く作業療法士さんと相談して院内でダーツ会を開いたこともありました。
そうこうしているうちに、恵那で唯一あったダーツ店が閉店してしまって・・・。
– ダーツが楽しめる場所がなくなってしまったんですね
そうなんです。県外のダーツ店で働いていた時から思っていたんですが、ダーツって「まわりの人がやっていないと始めること自体が難しいもの」なんですよね。遊べる場所がなくなる=ダーツを始めるきっかけもなくなる! と思って、自分でそのきっかけを作ろうと思ったんです。そこから、地元の人たちにダーツを知ってもらう方法がないか探り始めました。
大切なのは「みんなの情報源を知ること」
ダーツを教えたおじいちゃんに教えてもらった市のサービス
– 牧野選手は、自治体の方ともうまく連携されていますよね
はい。ダーツを広める活動をしよう! と決めてから人づてに紹介してもらい、高齢者の方にダーツを教えさせてもらう機会が何度かありました。最初はそうやって口コミで地道に活動していたんですが、ダーツを教えた地元のおじいちゃんが僕に訊いてきたんです。「まちゼミ」に登録しないのか?と。
– 「まちゼミ」はじめて聞くワードです。どんなものか教えてください
「まちゼミ」は、恵那市のサービスです(※全国の自治体で、同様の試みが行われています)。得意な分野がある地元の人がまちゼミに「先生」として登録して、地元で講習会やレクリエーション会を開くことができるんです。実は僕も、おじいちゃんに教えてもらうまで知らなかったんですけど(笑)。まちゼミに登録していると、市から配られる広報誌に先生の名前やどんなことをする人なのかが載ります。田舎なので、その広報誌が地元の人にとって一番の情報源なんです。
– 「まちゼミ」に登録したあと、どんな反響がありましたか?
ダーツ講座の話がたくさん舞い込んできました! まちゼミには「プロダーツ選手」って登録したんですけど、僕は恵那市で1人しかいないプロダーツ選手なんです。なので、地元の人には珍しく思ってもらえたんでしょう。
特に50~70代のお父さんたち。ダーツに対して何となく憧れはあるけど、やったことがないという人たちですね。そういう人たちに僕のことを知ってもらえて、ダーツを教えるきっかけになった。最初に「まちゼミ」のことを教えてくれたおじいちゃんには、本当に感謝しています!
– 「まちゼミ」の反響を受けて、ご自身に何か変化はありましたか?
「人との繋がり」が、とにかく地元で活動する上では大切なんだと気が付いたことです。それ以降、とにかく積極的に人に会いに行くようになりました。例えば地元企業の社長さんの集まりだったり、自治体の交流会。自分のことを知ってもらおう、ダーツのことを知ってもらおうとあちこちに足を運びました。名刺交換もたくさんしましたね。
結果、何かイベントごとがあれば声をかけてもらえるようにもなりました。前にも言いましたが、恵那市にはプロダーツ選手というのは僕しかいないので、面白がってもらえたんでしょう(笑)。でもきっかけは何でもいいんです。とにかくダーツを広める機会が一気に増えて、どんどん活動しやすくなっていきました。
余談ですが、名刺交換した方の中にサイト制作会社の方がいらっしゃって。僕の活動を面白がって聞いてくれたうえに、僕のサイトも制作してくださったんです。今は新型コロナウイルスの影響で活動自体が難しく更新が滞ってしまっていますが、過去の活動について興味をもってくださった方はぜひ見ていただけると嬉しいです。
気が付けば地元の有名人に
「恵那峡マルシェ」で地元新聞記者さんに声をかけられる
– 恵那市の観光地「恵那峡」で行われたイベントのことも伺っていいですか?
「恵那峡レイクサイドマルシェ(以下、恵那峡マルシェ)」のことですね。実はこの企画、僕の同級生が発案者なんです。僕以上に行動力がある同級生なんですが、元気がなくなってしまっている地元の観光地「恵那峡」をもっと盛り上げよう!と企画を立ちあげました。
同級生は京大を卒業して海外留学もして、そのあと地元に帰ってきて。僕がプロダーツプレイヤーになったことを知って連絡をくれたんです。その時に「一年で地元に顔をきかせられるようになるから、そしたら一緒に何かしよう!」って言っていて。本当に一年で「恵那峡マルシェ」の企画を形にしたんです。有言実行、すごい奴です(笑)。
– 恵那峡マルシェに出店したダーツブースは、新聞にも取り上げられたとか
そうなんです。マルシェ当日、地元新聞の記者さんが名指しで声をかけてくれたんです。「プロダーツ選手の牧野さんですか」って。どうやら元々僕のことを知ってくださっていたようで、マルシェの中でもダーツブースのことに注目して記事を書いてくれました。
– 地元ではすっかり有名人になっていたんですね!
やっぱりダーツは珍しいので…(笑)。プロダーツ選手であることを前面に押し出して自分をPRしていた結果、こういうことになったのは単純に嬉しかったです。新聞記事になったことで、また多くの人に知ってもらえましたし、今後も積極的に人に会って繋がりを広めていきたいですね!
※恵那峡レイクサイドマルシェでの活動は、地元新聞で2記事も掲載されました。
大学の授業にも登壇し、OB会にも毎回参加
– 牧野選手が送ってくださった応募内容に、「大学で講義をしました」とありました。どんなことを学生さんの前でお話されたんですか?
名城大学(愛知県名古屋市)さんの経済学部の授業でした。ちょうど副業制度についてルールが新しくなりつつあった時期だったので、自分のいまについて話しました。前述の通り、僕は調理師を本業としていて、プロダーツプレイヤーはいわゆる副業にあたります。学生さんたちには、ダーツにもプロ選手がいること、自分の好きなことだけで生活していくのは結構大変だということ、好きなことで食べていかなくても副業にする選択もあるよ、という趣旨の話をしました。
– 大学で講義をするきっかけは何だったのでしょうか?
本業の職場の同僚が、名城大学の出身で。名城大学さんでは、大学OBと学外の人がペアで登壇する授業があるんですが、その企画に呼んでいただいたんです。
– それ以降も、名城大学さんとはお付き合いがあると伺いました
名城大学さんには「Next one PJ」という名前のOB会があります。新型コロナウイルスが流行してから、そのOB会がオンライン開催になったんです。僕、全然名城大学OBではないんですが、OB会に毎回お邪魔させてもらっています(笑)。どんなところにダーツを広めるチャンスが転がっているかわかりませんからね! どんなきっかけも大切に、どんどん喰らいついていこうと常に心掛けています。
プロダーツ選手の認知を上げてみんなが知っているスポーツを目指す
ダーツに出逢ってから一気に夢中になり、プロ資格まで取得した牧野選手。「好き」という気持ちが強くあるからこそ、都市部以外のダーツのプレイ人口やプロダーツの認知の低さに特別な想いがあるようです。
– さまざまな活動をする活力になっているのは、どんなことだと思いますか?
「プロダーツ」という世界があることをいろんな人に知ってもらいたい、という気持ちは昔から強くありました。いろんな活動の活力になっているのは、その気持ちかなと思います。
実は、地元でダーツイベントを開催するたびに、参加してくださった方に毎回訊いていることがあります。「ダーツにプロ選手がいることを知っていますか?」という質問です。僕がプロだと知っている人を除くと、回答は「知らない」がほぼ100%というのが現状です。
野球やサッカーはプロ選手がいることをみんなが知っています。だけどダーツのプロについては地元では誰も知らないし、遊べる場所もない。僕自身はダーツが本当にすきでプロ資格を取ってしまうくらいなのに、ただただ寂しい気持ちなんです。プロ選手の世界を知ってもらえたら、みんなに憧れてもらえるかもしれない。みんなに「すごい! 自分もダーツやってみたい!」と思ってもらえるよう、プロダーツの世界のことも、もっと知ってもらえるよう頑張ろうと思います。
恵那市に再びダーツ店が開店
どんなに小さいことでもきっかけになると信じて
– これまで活動されてきて、一番嬉しかったことは何ですか?
恵那市に、またダーツ店が出来たことです。実は、ある方がお店を開く際にダーツの導入を考えているんだけど、お店を手伝ってくれないか?と僕に直接連絡をくれたんです。それが恵那市にある「eaZy」というお店です。eaZyでは、過去にダーツ店で働いていた経験を活かしてお店を運営していく上でのアドバイザーをしていました。
また、恵那市の隣にある中津川市にも「DINING SPORTS BAR 88(以下、88)」というお店がオープンしました。今は本業の調理師の仕事もしつつ、88のほうでもスタッフとして勤務しています。調理師なので厨房にも立ちますし、ダーツも教えていますよ!
– 現在は新型コロナウイルスの影響のためいろいろなことが制限されていると思います。現在取り組んでいることなどあればぜひ教えてください
まずお店(88)のほうですね。中津川市は工業地帯なので、出張などで他県からの行き来も多く、クラスターが発生したこともありました。新型コロナウイルス対策は本当に徹底しています。基本的なことですが、貸し出し用のダーツをこまめに消毒し、窓からの換気に加えサーキュレーターもガンガン回しています。
それと恵那峡マルシェ。毎年3~4月に開催する予定で始めた企画ですが、昨年(2020年)は中止になってしまいました。今年こそ安全に開催できるよう、これから地元の有志たちと話し合いを進めていきます。
– 地元に貢献したい! と考えている方に、アドバイスをお願いします
どんなに小さなことでも、人と繋がるきっかけになるということを忘れないことですね。本当になんでもいいんです。例えば、河原のゴミ拾い活動とか。一緒にゴミ拾いをやっている人に「ダーツやってるんですよ」と話しかけるだけでも、何かが生まれる可能性があると僕は思っています。だから地域で行われている行事にはできるだけ参加するようにしています。
どこにチャンスがあるかわかりませんから、やり方がわからない! と思っている方はとりあえず地域の行事に何でもいいから参加して、人との繋がりを作ることをお勧めします。それと僕が教えてもらったように、地域の情報源が何なのか良く知ること。それだけで、やりたいことの道は開けると思います。
そういう小さなきっかけを大切にして、周りの人がやったことがないことをどんどんやっていきたいですね。大学での講義をするプロダーツプレイヤーは僕しかいないと思うし(笑)、これからも新しいことをたくさんやっていきたいです。僕の活動が、プロダーツの世界を知ってもらうきっかけになって、さらにダーツに憧れてもらうきっかけになれば本当に嬉しいなと思います。
牧野克也選手のどんな小さなチャンスも逃さず食らいついて、ダーツを広めよう! というスポーツダーツプロジェクト。当プロジェクトも応援していきたいと思います。取材にご協力いただきました牧野選手、本当にありがとうございました!
スポーツダーツプロジェクト事務局では、どんどん「先輩」を紹介して、ダーツがこんなに活用されているんだ! ということをPRしていきたいと思っています。
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